今では、インターネットという言葉を知らない人はだいぶ減ってきたようですが、
では実際「webサイトとは」と問われた時にいくつかサイトが思い浮かぶ人は
実はそれほど多くないのではないかと思います。
そんな中、UI革命やweb2.0現象が広まってしまうのは、いかにこの業界の変化スピードが早いかを物語っています。
ネットに慣れていない人が慣れる前に、AjaxやDHTMLによるUI革命が起きているわけです。
この革命は「慣れていない人でも、簡単に使えるようになった」という類の革命というよりは、既存のハイパーリンクに飽きてしまった人のための革命という気がします。
実際、web2.0と言って、もてはやされるサービスには、面白いと思う反面、
自分の親が(場合によっては友人でさえも)理解できるのかどうか疑問に思うものがあります。
それでは、懇切丁寧なサイトが良いのかと言うと、一概にそうではありません。
誰にでも経験のあることだと思いますが、親切はおせっかいになることもあります。
「
青い下線のある所は、マウスのカーソル(矢印)をそこに合わせて、マウスの左ボタンをクリック(押す)と、それに関する別のページが表示されます。
」
などと、全てのページに書いてあっても、助かるのは最初の一回だけで、後は無用の長物なわけです。
* * *
それでは、初めてでも分かりやすく、慣れても飽きがこないものは何か、という話になるのですが、
これは、やはり「シンプルなもの」ではないかと思うのです。
結局、使う人はあらゆる思想や、目的の背景を持って来るのですから、
それに対応するには、できる限りシンプルに、
あらゆる解釈に耐えうる作りにしておくことが必要ではないでしょうか。
例えば、丸い物体でも、白と黒で六角形と五角形の模様が付いていれば、
もうほとんどサッカーボールでしかないのですが、
そのまま置いておけば、リンゴかもしれないし、惑星かもしれないわけです。
もし、その丸い物体を、色んな人に見てもらいたいなら、
下手に装飾して、一部のサッカーファンしか集まらないよりも、
そのままを置いて、食べ物好きや、天体学者も集まってくれたほうが良いわけです。
「シンプル」というのは何も、画像使うな、とか、
リンクは下線付きの青文字だけにしろ、という意味ではありません。
自分の提供したいものを、余計な装飾や親切を省いて提供しましょうということです。
先の例で言えば、サッカーファンを集めたいなら、やはり白と黒の装飾は重要なわけです。
しかし、必要以上の装飾をすると、初心者のユーザーには説明しなくてはならないし、
慣れたユーザーにとってはジャマなものになってしまうのです。
では、何をもってシンプルさを磨くのか。
それはもう自分が何をしたいのか、という「目的」。
そして、それを誰が見るのか、使うのか、という「対象」。
この二つを明確にしていくことではないでしょうか。
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