悪霊を読んだ。

1861年農奴解放令以後のロシアの混沌とした様子を、
実際にあった事件を元に描いた大作。

題名は、ルカ福音書第八章32-36節より。

人に憑いていた悪霊がイエスの許しによって、
人から出て豚にとり憑くと、豚は崖から湖に飛び込み溺死した。
というところから来ている。

本作を読むに当たっては、焦点の当て方が沢山あると思うが、
やはり気になるのはスタヴローギン。

主人公でありながら、どうにもつかみどころが無い人だが、
「スタヴローギンの告白」を読むと納得できることも多い。

問題は、生きていくのが気が狂いそうなほど退屈なことであった。

退屈とか、ヒマっていうのは結構危険なもので、
学問や哲学の始まりはここにあるのだが、
思想というものがしばしば破滅へ至るのは、退屈が根本にあるからだと思う。

退屈から始まった哲学が、退屈に立ち返るわけにはいかないのだ。

「暇つぶし」という概念があり、
しかもそれに夢中になることができるのは、
人間の自己防衛本能のせいかもしれない。

まあ、とにかく、ヒマをつぶせずに、あれこれ考え始めると、
とんでもない結果に辿り着いたりする。

結局のところ、学問が発達するというのは、暇人が増えるからで、
そういう暇人が発達させる学問の行く末には
破滅が待ってるんじゃないかという気にもなってくるので困った。

発見の先に何を発見するのだろう。

神、あるいは無。
(この二つは同一のものに思える)

その事実に人間が耐えられるのかどうか。
少なくともスタヴローギンやキリーロフは耐えることができなかったのだ。

オススメ度★★★