夢十夜を読んだ。

他、『文鳥』と、『永日小品』が収められている。いずれも、短編。
日常の一片を切り出した作品が魅力的。

自分は何処へ行くんだか判らない船でも、やっぱり乗っている方がよかったと始めて悟りながら、しかもその悟りを利用する事が出来ずに、無限の後悔と恐怖とを抱いて黒い波の方へ静かに落ちて行った。
夢十夜 第七夜

このあたりの表現は、さすがに目を上げて考えさせる力があるが、
漱石くらいにもなると、ちょっと平凡な気もした。
それよりは、以下のような文が面白いと思った。

幾何の説明をやる時に、どうしても一所になるべき線が、一所にならないで困ったことがある。
ところが込み入った図を、太い線で書いているうちに、その線が二つ、黒板の上で重なり合って一所になってくれたのは嬉しかった。
永日小品 変化

なんだかこっちまで嬉しくなってしまう。

オススメ度★★★