「おもしろい」のゲームデザイン - 楽しいゲームを作る理論

「おもしろい」のゲームデザイン - 楽しいゲームを作る理論を読んだ。
皆さん、三目並べはやったことありますか?
井の字に○×というアレです。僕はやりました。
小学校のころは休み時間になれば、
みんな黒板に向かって狂ったように○と×を書きました。
そして、誰に教わるでもなく、最善の手を尽くせば引き分けに終わる、
ということに気づき、卒業するころには誰もやらなくなりました。
ゲームは未だ、この三目並べの域を脱していないものが多いようです。
■脳の働き
本書は「これを読めばゲームデザイナーになれる!」といった類の本ではありません。
どちらかと言うと、というかほとんどアカデミックな内容です。
が、ほとんど全てのページにデカデカと挿絵があります。
たぶん半分は絵です。すぐに読みきれます(笑)
本書では、人間の脳がいかに働くか、という所からスタートします。
脳はパターンの認識にかなり多くの労力を費やします。
しかし、脳は毎回毎回パターン認識作業をするわけではありません。
一度認識できたパターンはチャンクとして蓄積されます。
つまり、一度会得したパターンはもう特別なことをしなくても認識できるわけです。
自転車の運転したり、学校への道のりを通うことがそれです。
しかし、脳は怠惰なのかと思いきや、そうではありません。
脳が持つ学習への欲求を過小評価すべきではありません。
脳は常に何かを学ぼうとしています。
おもしろさとは単に、学ぶことの別名なのです。
学校での勉強がつまらないと思うのは、
情報の伝え方、つまり先生が良くないから、ということになります。
それでも一旦パターンを習得してしまえば、そのゲーム(学習)はつまらなくなります。
■抽象化する
位相数学(トポロジー)の見地からゲームを考えるのはとても役立ちます。
トポロジーについて、本書では
形状を「押し潰した」だけでは変化しない形状の特性に注目して研究する幾何学の一分野
と説明しています。
ある立方体を望むように押しつぶしたり、広げたりできれば、
球にするのはたやすいが、穴を開けなければドーナツ状にはできない。
しかし、ドーナツ状のものは、簡単にポット(ふたや取っ手の無いもの)に
変形させることができる。
そういう意味で、立方体と、ドーナツ状のものとは根本的に異なるということでしょう。
立方体を広げたり、潰したりして表層を変えたゲームは沢山存在します。
ゲームにもっとはまり込めば、そのゲームを支える土台を見つけ出し、確かめるために、そこを切り出すのが、かなりうまくなるでしょう。
重要なのは、ゲームの本質を抽象化し、
「チャンク」(冒頭参照)として記憶された部分を理解することだと言っています。
つまり、チャンク化されてしまったものは
表層を変えたくらいでは、やがて飽きられるということだと思います。
構造に穴を空けることを革新的である、と言います。
■具体的には、どうあれば良いのか
いくつか指針があります。
・挑戦する前に準備しなければならないですか?
・異なったやり方で準備しても、成功することができますか?
・挑戦が発生する環境は、その挑戦に影響を与えますか?
・プレイヤーが受ける挑戦を定めた確固たる規則が存在しますか?
・その規則一式は、何種類もの挑戦に対応できますか?
・その挑戦に耐えるためにプレイヤーは複数の能力を持つことができますか?
・難しさが増した場合、その挑戦に耐えるのに、プレイヤーが複数の能力を持たなければならなくなりますか?
・能力の使用に関連した技術が存在しますか?(もしないなら、チェッカーにおける駒の動きのように、それが、そのゲームで基本となる「動き」に相当するものですか?)
・挑戦を克服するのに必要となる、いくつもの成功を辿る道筋が存在しますか?(言い換えるなら、成功は唯一の結果だけをもたらすようにすべきではありません)
・熟達したプレイヤーが簡単な挑戦に取り組んでも何も利益を得られないですか?
・挑戦に失敗したら、最低限、プレイヤーは再びやり直さなければなりませんか?以上の質問のどれか1つでも答えが「いいえ」になるなら、そのゲームシステムは、おそらく、作り直す必要があるでしょう。
本文中でかなり具体的に書かれていたのがこの部分だと思います。
■ゲームはどこへ向かうべきか
ゲームが、領地や、照準や、攻撃時期といったものに関するパターンを教えるだけのものから変化するべきときなのです。
中盤?後半では、ゲームをさらに大きな枠でとらえ、
芸術へと昇華させていくべきという、筆者の持論が展開されます。
ゲームはまだ成熟しておらず、それはあたかも
印象・抽象画の絵画、遊園地に置かれていたキネトスコープ
若者を堕落させると言われたジャズ・ロック、等が歩んだ道のように、
一段低いものとして認識されています。
このことをゲームに携わる者はよく理解し、
自らの信じる方向へとゲームを動かしていくべきでしょう。
そうして時を経て残るものが芸術となっていくはずです。
オススメ度★★★★
トラックバック URI :


