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夏目漱石 - それから

2007/05/27

それから
それから
を読んだ。

三四郎に続く、三部作と呼ばれるものの二作目。

あらすじを一言で言うと、
「食うための仕事というのは、食うことが目的なんだから、
それに都合いいように仕事が左右されて、ろくな仕事はできまい」
という持論から働きもせず風流な暮らしをしていた主人公代助が、
ふとしたきっかけで、
昔好きだったにも関わらず妙な義侠心から友人に譲った女性三千代を、
今更のように我が物にしようとしたため、
友人とは絶交、家からは勘当、社会からも追放され、
いよいよ食うための職探しに出かけるというお話。

もちろん、持論と言っても、単なる口実だと思われる。
自分の労働が、自分一人を養う以上のことになるのか、
という思想。

究極的には、
食うために生きてるのか、生きるために食うのか、
それなら生きている必要はあるのかという問い。
けど、食えなくなること(死)への本能的な恐れ。

そして、あらゆる問題がここに還元されてしまう。

人には多かれ少なかれ、そういう所があるはず。
ふと「俺、何やってんだろ」みたいな時。
それでも、大抵は(例え欺瞞でも)それなりの出口を見つけてやってく。

ところが、学のある代助の高尚な思想は欺瞞にも耐えられず、
しかも親に財産があったため、ひたすらモラトリアムが続く。

自分を欺くことを潔しとしない代助は、
心の赴くところに従い、人の掟にそむく。
(要するに、友人の妻を奪うわけで、当時は法にも触れんばかりの行為)

三千代以外には、父も兄も社会も人間も悉く敵であった。

こうして今や、三千代が生きる意味となり、
次の言葉で代助のモラトリアムも終わる。

「ああ動く。世の中が動く」

オススメ度★★★

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夏目漱石 - 三四郎

2007/04/05

三四郎
三四郎
を読んだ。

森鴎外の「青年」は、三四郎に影響を受けて書かれたらしい、ということで読んでみた。

引き込まれ方は、三四郎かな。
これが文豪のなせる技か!
という感じで読めた。(いや、鴎外も文豪だけど)

話は田舎から東京へ出てきた三四郎の身の周りの出来事だが、
「青年」よりは、小難しい話が無い分、読みやすい。
登場人物もそれぞれキャラが立っていて分かりやすい。

が、ところどころに仕掛けみたいなのがあって、
そこが深みをあたえているんだろう、とか思う。

萌えどころは小悪魔であり子羊(迷える羊)でもある美禰子。
恋になっていないけど、その前段階というか、
お互いにちょっと気になるな、みたいなところが
うまく描写されている。

そういう時期は長くないから
いかにも青春の刹那っぽくて良い。

そして、この微妙な関係の中に
「無意識の偽善者」が投じられている。
無意識の偽善者とは、ここでは無意識に別人になって行為する者ということらしい。
この場合はもちろん美禰子。

そりゃ、三四郎も翻弄されますよ・・

でも、展覧会の場面で野々宮さん(あるいは三四郎)を愚弄するシーンは、
三四郎には悪いけど、結構いい表現があるな、と思ったり。

無意識だからいいんですよね・・
意識的だったら単にいやな女ですよ。

あと、「三四郎は…」とか「美禰子は…」という表現が
突如「男は…」「女は…」という表現に切り替わる効果が面白い。

今まで三四郎視点だったのが、
一気に第三者視点で見ているような気持ちになる。

他にも表現や描写の端々に面白い所がある。
変な比較だけど、ドラクエなんかは本編と関係ない所でクスリとできる場所があって、なんとなく、それに似ていると思った。

オススメ度★★★

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森鴎外 - 青年

2007/03/31

青年
青年
を読んだ。(写真は岩波文庫)

教養小説と呼ばれている小説。
主に小説家志望の主人公純一の視点から、
思索や議論、女性関係、考察がつづられている。

ところどころフランス語混じりなのが読みづらい・・
それともこの程度のフランス語は必修なのかなー。

以下、夏目漱石をモデルとした登場人物が言った
「新人」あるいは「新しい人」(ニュータイプ?)
についての、純一と友人大村の議論で。

捕われるのですとも。
縄が新しくなると、当分当たりどころが違うから、
縛(いましめ)を感ぜないのだろうと、僕は思っているのです

求め、打ちたて、破壊する。

このサイクルは世代を超えて行われるのはよくあるけど、
一人で実践するツワモノもいる。

どっちがいいとかは無いと思うけど、
打ち立てたものを破壊するのは、
なかなかできることではない。

そういう意味で、新人とは言っても、
破壊的な新人というのは日本では少ないですね、
という話が展開されている。

日本の新人について、

縛られた縄を解いて行くところに、
なる程と思うところはありますが

という評価。
この辺は日本人気質か。

中庸の精神とか、繊細なバランス感覚は
確かに刺激は少ないけど、それはそれで面白い。

人の心を動かすほどに徹底するのは困難だろうけど。
ゴルディアスの結び目をほどいちゃったとか、その位を目指したい・・

オススメ度★★

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