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小沼ますみ - ショパン 若き日の肖像

2007/10/11

諸君、帽子をとりたまえ、天才だ

ショパン 若き日の肖像を読んだ。

ショパンの二十代前半を中心に、その様子を紹介している。

本書は主にショパンとその相手の手紙を通して紹介する形になっているが、
一般の「書簡集」と呼ばれるものよりも、心情や生活背景などがより詳細に書かれているようだ。

もちろん、いつどんなことがあって、各曲が作曲されたのかということも書かれている。

冒頭の引用は若き日のショパンに対するシューマンの批評だが、
ショパンが天才とされたのは、その独創性にあったとされる。

ショパンの独創性は、
「ピアノを直感的に理解し、その魅力を最大限に引き出せた」
というところにあるのだろう。

直感的であるがゆえに、ピアノ曲以外の作曲はしなかった(できなかった?)ようだ。
師にオペラの作曲を勧められていたが、生涯オペラを作曲することはなかった。
やはり、ショパンはピアノのために生れてきたのだ。

ショパンの師エルスネルは、ショパンに宛てた手紙でこう述べている。

真実にして美しいものは、模倣するのではなくて、自己の信条や高い規範に従って体験しなければならないのです。
どんな人間も、どんな民族も、至高の完璧な手本とみなすことはできません。ある人達とか民族は、多かれ少なかれ、うまくいった例を示してくれるに過ぎないのです。
結論を言えば、芸術家が同時代の人々の賞讃を得られるものを見出せるのは、自分自身によって、自己を完成させることによってだけなのです。

オススメ度★★

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インフェルト - ガロアの生涯

2007/09/08

それは明白なことじゃないでしょうか?

彼にとって、全ては明白であったに違いない。

サイモン・シンのフェルマーの最終定理で登場した数学者で、
もっとも興味を惹かれた人物、エヴァリスト・ガロアの伝記。

15歳で数学に出会い、20歳の若さで死に至る5年の間で、
数学史に名を残す業績をあげた人物である。

もっとも、彼の生涯は共和主義者としての生涯でもあり、
最期の決闘も、その政治的活動が原因であったとされる。

恐らく、端正な肖像画からは想像できないほどの
憎悪と苦悩のうちに生涯を終えたのであろう。

本書は伝記であるから、数学的な内容はそれほど多くなく、
主に、1830年ごろのフランスの様子を背景にガロアの活動と心情を描いている。
ガロアが若くして亡くなったこともあり、また生前数学者として認められることも無かったため、
信頼できる資料は少ないが、一つの人生を想像するに十分な内容となっている。

ガロアは人生を性急に歩みすぎた。
ほとんど唯一の理解者であった父を亡くしてから、
彼は自分を理解してくれる人を探していた。

そして、誰かに認められたかったのだろう。

そのことが彼の明晰で論理的な頭脳をして、彼を極端な行動に駆り立てた。
その結果、共和主義者としては、危険人物とされ、
数学者としては、狂人だと思われるに至った。

最高学府の理工科学校入学試験には二度落第し、
三度提出した数学論文は全て受け付けられなかった。
いずれも、ガロアの才能を見抜けなかった人々が下した結果だった。

政治犯として、投獄されたガロアは友人に語る。

ねえ、ぼくに何が欠けているか、わかりますか?
貴方にだけ打ち明けるんです。
それは、ぼくが、全身全霊で愛せる人なんです。

彼は、自分が愛し、そして愛される人を求めていた。
もし、そのような人がいたら、
彼の心の支えとなって、より偉大な数学者への道が開けたかもしれない。

そんな時に現れたエーヴ(ステファニー・ドゥモーテル)は、
彼にとって唯一の期待となっただろう。

しかし、彼女のためにガロアは死へ導かれることとなる。
エーヴには恋人がいたにも関わらず、ガロアが誘惑したというかどで、
恋人から決闘を申し込まれたのだ。

これは政治的危険人物とみなされたガロアに仕掛けられた罠であった。

いかがわしい浮気女の犠牲となって小生は死ぬ。
みじめなる一片の誹謗のなかに、わが人生は消えてゆく。

決闘までの13時間、ガロアはその頭に蓄積された数学の成果を遺すことに費やした。

2~3年分の思索を13時間でまとめなければならない。

証明が不完全であることを知りながら、
要となる概略を書き続ける。

ガロアが遺した原稿には今もその記述が残る。

もう時間がない

この時遺された原稿は、数少ない友人シュヴァリエや、
弟アルフレッドによって数学者たちに広められた。
それでも数学者たちがガロアの業績に気づくのにはさらに時間を要した。

しかし、死の当時、一介の共和主義者だったガロアは、
今日、群論の祖たる大数学者として知られている。

20世紀から現在の主要な数学・物理学の根底には
ガロア理論が生きているのである。

オススメ度★★★

関連記事:
サイモン・シン - フェルマーの最終定理

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吉成順 - バッハの「正しい」聴き方

2006/10/06

バッハの「正しい」聴き方
バッハの「正しい」聴き方
を読んだ。

題名が誤解を招くような気がするのですが、
なんてことはない、バッハと曲の紹介本です。

バッハの人生と曲を時系列で紹介しています。

単に曲を聴くだけでなく、その当時どういう状況にあったのか、
などを知るとまた違った聴き方ができるかもしれません。

そんな感じの気軽な一冊。

オススメ度★★★

ちなみにバッハで一番のお気に入りはマタイ受難曲(Wikipedia)の39曲目。
アリア「憐れみ給え、わが神よ」です。
最初に聞いたのは映画、A・タルコフスキーの『サクリファイス』ですが、
東方の三賢人を背景に流れるアリアが最高なんですよね。

マタイ受難曲 - Amazon

B000062VMC-01-_AA240_SCLZZZZZZZ_.jpgサクリファイス

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