しろログ

日々巡り会ったものの感想・レビュー

Month: 12月 2007 (page 1 of 2)

2007年まとめ

印象に残ったものなどを。


三島由紀夫 – 金閣寺
サイモン・シン – フェルマーの最終定理
リーナス・トーバルズ – それがぼくには楽しかったから

あと感想は書いてないけど、「ベルサイユのばら」を読んでちょっとはまったりして、
現在「オルフェウスの窓」鑑賞中。絵が上手くなってる感じで良さげ。

ゲーム
Halo3
ロストプラネット

今年は次世代機に手を出しまくったり、
それに合わせて、HDTVや5.1ch環境揃えたり、
割とデジタル家電が充実した。

ここ最近は、だいぶインプットが増えてきた気がするので、
ぼつぼつアウトプットにもまわさないと、と思いつつ、2008年を迎えることにする。

夏目漱石 – 彼岸過迄

彼岸過迄を読んだ。

元旦から書き始めて、彼岸過ぎ迄書くから、彼岸過迄という題。
なので、内容とは全然関係無い。

それはさておき……
漱石の作品は、登場人物に一人は自分と似た人が出てくる率が高いから好きだ。

完全に同じではないけど、考え方の端々が似てる。
誰か一人でなく、複数の登場人物にまたがることもある。

本作では、須永を中心に、敬太郎、松本あたりがそれだ。

無駄に色々悩んで、一人で神経すり減らすタイプorz

悩むのはいいが、考えすぎはダメだ、
と言いたくなるような感じかもしれない。

話としては、とりとめのないようで、意外と起承転結があるような、
読み終わってみると、かなり好きな作品になっていた。

虞美人草の時に、漱石は「書いているうちに登場人物が勝手に歩いてくれるでしょう」といったことを言ってたけど、
この作品で初めて勝手に歩く登場人物を見た気がする。

特に、ヤマ場は、須永の話の終盤。

幼馴染の千代子と、それとなく将来は結婚か、というところで、
やっぱり家族のように育ってきた千代子とは夫婦という感じでもないし、
かと言って、他の人との結婚は考えられないし、といったふう。

作中では、須永の視点で一方的な思考が語られるわけだが、
そこはやっぱり、独りよがり&思い込みがちな思考になる。

千代子に対しては、兄妹のような感覚を持ちながら、
一方で見栄もあり、一人で微妙な牽制をしているのだが、
明らかに結婚候補っぽい人物が現れた終盤……

千代子に卑怯だと言われ、卑怯の意味が、
自分の引っ込み思案なところに向けられたものだと思う須永と、
自分の言う所の意味を分かってもらえない千代子。

「じゃ卑怯の意味を話してあげます」と云って千代子は泣き出した。

この涙に半分引き気味の須永。

僕は心を動かす所なく、彼女の涙の間から如何なる説明が出るだろうと待ち設けた。
彼女の唇を洩れるものは、自己の体面を飾る強弁より外に何も有る筈がないと、僕は固く信じていたからである。

千代子は、須永が自分を馬鹿にしており、
そして、結局自分と結婚する気が無いのだと須永に訴える。

「唯何故愛してもいず、細君にもしようと思っていない妾(わたし)に対して……」
彼女は此処へ来て急に口籠った。不敏な僕はその後へ何が出て来るのかまだ覚(さと)れなかった。

続きを促す須永に、千代子は答える。

彼女は突然物を衝き破った風に、
「何故嫉妬なさるんです」と云い切って、前より劇しく泣き出した。
僕はさっと血が顔に上る時の熱りを両方の頬に感じた。

うわー、ばれてるー!と思った。
確かに須永は嫉妬していた。しかし、それは心に秘めたものであって、
決して他人に分かるはずは無かった。無いと思っていた。
(何しろ須永自身よく分かっていなかったのだ)

そんな須永視点に完全にひたりきってた所で、このセリフは効く。

この瞬間、彼らは漱石の創作した人物ではなくなっていた。

なんとなく間延びした展開がここで一気に締められ、
余韻を残しつつ、最後の松本と、敬太郎の話が続く。

もちろん、読みどころは他にもある。
たぶん読むたびに新しい発見があるんじゃないかと思う。
とりあえずは大学生くらいの方にオススメ。

オススメ度★★★★

リーナス・トーバルズ – それがぼくには楽しかったから

デイビッド・ダイヤモンドとの共著、
それがぼくには楽しかったからを読んだ。

Web業界にいて知らない者はいないLinux開発者のLinusが、
その人生哲学やLinuxについて語っている。

もちろんコンピューターのことに明るいほうが楽しめるけど、
あまり詳しくない人でも、興味があればオススメできる。
そして、コンピューターをいじってる人は何が楽しいのか少し分かるかもしれない。

物理学では、世界がどのように作られているかを見つけ出そうとするけど、コンピューター・サイエンスでは、自分で世界を作るのだ。

プログラミングは何かを築く行為であり、
その世界では自分が神となる。

悪役だが、トレインマンの言葉は象徴的だ。

ここは俺が作ったのさ。
ここじゃ、ルールも俺が作る。
ここじゃ、俺が神だ。
MATRIX REVOLUTIONS

ちなみに自分の創造したはずの被造物が思い通り動かずに苦しめられるのは、
実際の神と同じではある。

芸術と技術をどのように組み合わせるかの問題だ。

単に使うだけならソフトウェアなんて動けばいいのだが、
やはり同じ動作にも実現方法はたくさんあって、
芸術的なやり方から、そうでないのまで様々だ。

絵画にも、モナリザのようなものもあれば、
単に絵の具をぶちまけたようなものがあるようなものだ。

そして、やはり美しいものは生み出したくなるのである。
そうして、日々コンピューターに向かう。

プログラミングに夢中になる理由のほとんどは、
自分が創造主になれることであり、
自分の能力次第で美しく仕上げることができる、
ということにあると思う。

これはほとんど全ての芸術と同様だと思う。

多少なりとも生存が保証された社会では、お金は最大の原動力にはならない。
人は情熱に駆り立てられたとき、最高の仕事をするものだ。

オススメ度★★★★

NEC、真紅をしゃべらせる

真紅しゃべる

音声合成といえばミックミクがかまびすしかったが、
今度はローゼンメイデンの真紅をしゃべらせることのできるサイトがオープンした。
Alice Project

100文字までのせりふを入力すると1秒ほどで音声合成し、せりふに合わせて口を動かす真紅の動画を作成・公開できる。真紅の声を担当する声優の沢城みゆきさんの声のデータベースをもとに、NEC共通基盤ソフトウェア研究所が開発した音声合成エンジンで合成する。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0712/17/news024.html

みんなに音声を合成&修正させまくって、データ精度を高め、
完璧な少女=アリスを誕生させようという、ネット向きな仕組み。

にしても、真紅っていう選択がなんとも言えないな。
確かに熱狂的マニアが一日中データを送ってくれそうだけど。

サイトの各URLがドイツ語になってたり、デザインも細かいとこまでこだわってるし、
ここはディズニーか、っていうくらい世界観作りしてる。
PEACH-PITからの要請でなければ、担当者がファンなんだな。

とりあえず、今現在かなりつながりにくい状況。
偶数IDと奇数IDで合成エンジンにアクセス制限がかかってる…。

ローゼンメイデン アリスプロジェクト

が、気合でアカウント取得して、いじってみたけど、音声編集とか凄い。
これでメール着信音声とか、目覚まし音声作れるぞ。

ちなみに、そうして作った音声なんかを組み合わせて
ショートストーリー動画とかも作れる。
評価が高いと、新たな画像ゲットできたりするなど、ゲーム要素も強い。
いや、下手なゲーム買うよりよっぽど面白い。

こういう二次創作推奨パターンは結構面白いと思うな。
同人系とか、見てみぬフリのとこも多いけど、
いっそ支援したほうがいい方向に向かう気がする。

アニメ作ったら、キャラデータや音声データを公開して自由に使えるようにするとか。
もちろん、そのソースには、なんらかの形で還元が必要だとは思うけど。

それにしても、NECのような企業が、
こういうアニメキャラを使ってプロジェクト組んじゃうあたり、
日本はじまったな、って感じで良いね。

関連リンク:
Alice Project
ローゼンメイデンアリスプロジェクト推進委員会ブログ
PEACH-PIT ローゼンメイデン作者
アニメ「ローゼンメイデン」公式ホームページ
GalateaTalk オープンソースな日本語テキスト音声合成ソフトウェア。
初音ミク

夏目漱石 – 私の個人主義

青空文庫にあった「私の個人主義」をさくっと読んだ。

漱石が自分の道をどう歩いたかについて。
学習院大学での講演なので、要点だけが語られている。

今の生活よりも、自分に合った生活があるんじゃないだろうか。
チャンスがあったら、そちらへ飛んでやろう、という気持ち。
そういう根無し草のような感覚を持っていたと言うのは分かるなー。

それは結局、自己本位になりきれていないということに気づいて、
悟ったように道が開ける、という流れ。

自己本位というのは、自分で考え、自分で判断し、自分なりの価値を持つことだ。

他人の説明で自分自身を納得させない。
疑問を持ったら自分で調べて、考えて、判断する。
他人の説明は文字通り「助言」に過ぎない。

と、言われてみれば、なんのことはない。
とっくにそう思ってるぜ、なんて思いながら、
気が付くとフワフワしてる自分に自戒の念をこめつつ、再確認。

自分にとって、漱石って苦悩の人っていうイメージがあるんだけど、
苦悩のうちに道を見出す、みたいな所が好きだな。

たぶん頭の中で、あーでもない、こーでもない、というのがものすごくあったと思う。
そして、そういうのが色んな作品中で描写されてる。

行動だけ見れば至って普通なのに、そこに至る思考プロセスの描写が面白いんだな。

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