しろログ

日々巡り会ったものの感想・レビュー

Month: 10月 2007 (page 2 of 2)

タイムリープに見るADV系映像表現の理想

アニメ的表現目指してたエロゲとかADV(アドベンチャー)系ゲームの理想が
達成されつつあるんだと思った、という話。

これはタイムリープというゲームのベンチマーク用ソフトの映像。
3Dのモデルを使って、トゥーンレンダリングという平面的に表示させる技術で作られている。

利点は、もちろん動画を描く必要が無いこと。
一度モデルを作ってしまえば、後は自在に動かせる。
これでゲーム制作の自由度は格段に上がる。

思いつきでワンシーン挿入したくなっても、
新たに動画を描き起こす必要が無い。
カメラワークも自由自在。

従来のアニメより、簡単にアニメ的な映像が作れるということだ。
(簡単、というのは技術的にではなく、人・時間的に、という意味で。
技術は時間と共に向上するが、人と時間は放っておいても増えない。)

ちなみに下の動画はキャラを入れ替えたもの。

これを普通のアニメ方式でやろうとすると、
そのキャラの動きを一から描くはめになる。
人も時間も必要だ。

しかし、プログラムで動いている場合には、
文字通り、キャラデータを入れ替えるだけで済む。

ドラクエ8とかトラスティベル、アイドルマスターも同様の技術を使っている。

それがやっぱり、ADV系ゲームに採用されたわけで。
映像表現でアニメを追っかけてたADV系ゲームが、
ここらで枝分かれして独自の発展を遂げる予感がする。

2001年の時点でときメモ3とかはもう既に取り入れてるけど、あれはPS2向けだったし、
この処理ができるPCがそこそこの値段で手に入るようになったこれからが面白くなりそう。

純粋な2Dが駆逐されることは無いと思うけど、
より技術が進んで、ユーザー環境も整ってくれば、
トゥーンレンダリングがいずれ主流になるんじゃなかろうか。

この方面では、ほとんどエロゲーなのが泣けるのだが、
普通にエンターテインメントに応用できるものだと思うので、
アニメ+ゲームな分野に期待したい。

ゲームに限らずアニメ自体も、従来のアニメではないアニメというか、
日本版Pixarみたいな感じのスタジオなんかもできたら面白いと思う。

関連記事:
Trusty Bell トラスティベル ~ショパンの夢~

関連リンク:
タイムリープ(18禁)
THE IDOL M@ASTER
Pixar

小沼ますみ – ショパン 若き日の肖像

諸君、帽子をとりたまえ、天才だ

ショパン 若き日の肖像を読んだ。

ショパンの二十代前半を中心に、その様子を紹介している。

本書は主にショパンとその相手の手紙を通して紹介する形になっているが、
一般の「書簡集」と呼ばれるものよりも、心情や生活背景などがより詳細に書かれているようだ。

もちろん、いつどんなことがあって、各曲が作曲されたのかということも書かれている。

冒頭の引用は若き日のショパンに対するシューマンの批評だが、
ショパンが天才とされたのは、その独創性にあったとされる。

ショパンの独創性は、
「ピアノを直感的に理解し、その魅力を最大限に引き出せた」
というところにあるのだろう。

直感的であるがゆえに、ピアノ曲以外の作曲はしなかった(できなかった?)ようだ。
師にオペラの作曲を勧められていたが、生涯オペラを作曲することはなかった。
やはり、ショパンはピアノのために生れてきたのだ。

ショパンの師エルスネルは、ショパンに宛てた手紙でこう述べている。

真実にして美しいものは、模倣するのではなくて、自己の信条や高い規範に従って体験しなければならないのです。
どんな人間も、どんな民族も、至高の完璧な手本とみなすことはできません。ある人達とか民族は、多かれ少なかれ、うまくいった例を示してくれるに過ぎないのです。
結論を言えば、芸術家が同時代の人々の賞讃を得られるものを見出せるのは、自分自身によって、自己を完成させることによってだけなのです。

オススメ度★★

夏目漱石 – 門

門を読んだ。

三四郎、それから、に続く前期三部作と呼ばれるものの最後。

宗助が、友人安井と同棲していた御米を、半ば奪う形で結婚し、
そのために背徳者として、家と世間から切り離されて暮らす話。

決して、御米が嫌がってるわけではない。
むしろ二人で一つ、お互いがいれば他には何もいらない、
というくらいの仲。

背徳という闇の中にともる灯火のような二人だが、
決して不幸には見えない。

実際彼らは不幸ではなかったが、
不幸でないことを自覚しているわけでもない。

ただ世間の風雨を人一倍感じざるをえないだけである。

背徳者だけが感じる不安が巧妙に描かれている。

最後の御米と宗助の会話。

御米は障子の硝子に映る麗かな日影をすかして見て、
「本当にありがたいわね。漸くの事春になって」といって、晴れ晴れしい眉を張った。
宗助は縁に出て長く延びた爪を剪りながら、
「うん、しかしまたじき冬になるよ」と答えて、下を向いたまま鋏を動かしていた。

このシーンは、そのまま冒頭のシーンにつなげることもできる。
季節がめぐるように訪れる、終わることのない不安を暗示している。

以下、深読みコーナー。

大家さんが饅頭をごちそうしてくれる場面。

主人は箸とも楊枝とも片の付かないもので、無雑作に饅頭を割って、むしゃむしゃ食い始めた。宗助も顰に倣った。

というくだりがあるのだが、「顰(ひそみ)に倣う」というのは、「真似すること」を謙遜した言い方だ。

この語源を調べてみると面白い。
「顰に倣う」は「西施(せいし)の顰に倣う」という中国の話から来ていて、
その話は以下のようなものである。

春秋時代、西施という美女がいた。
西施が胸の病で、苦しみ、眉をひそめていたところ、
それを見た醜女が美しいと思い、自分も真似をしたところ、
あまりの醜さに金持ちの村人は門を閉ざし、
貧乏人は逃げ出した。

この逸話は漱石も知っていたんじゃないかと思うが、
門というテーマにひっかけていたとしたら面白い。

…まあ、たぶんそんなことは無くて、
たまたま使おうと思った言葉と逸話が関係あるっぽいだけだろうが。

オススメ度★★★★

関連記事:
夏目漱石 – 三四郎
夏目漱石 – それから

Halo3

Halo3

Halo(ヘイロー)3をやってみた。

XboxのビッグタイトルHaloの完結編。
発売日にビックカメラで買ったけど、結構デモ眺めてる人はいた。
このグラフィックならしばらく眺めたくもなるかな、と思う。

Halo3スペシャルエディションで本体買ってる人もいたし、
日本ではシェアの低いXbox360にしては、まあまあ盛況だった感じ。

見れば分かるようにジャンルはFPS。
以前は興味ないジャンルだったけど、ロスプラとか、このくらいのレベルだとやる気が出る。
DOOM時代と違って酔ったりしなくなったのでだいぶ慣れたっぽい。

コントローラーの左右をリバースにできなくて、
最初かなり操作しづらかったけど、なんとかなった。
上下左右リバースって変なのかな。
でも据付の機関銃なんか操作する時は、普通に上下左右リバースのような…

グラフィックは評判通り。
PS2時代のムービーの中を走り回ってる感じ。
暗い所から明るい所に出たとき、ハレーション起こしたり、
戦車とかに乗りながら移動すると前のほうにいる仲間がささっと避けたり、
変なことしてると、さりげなく助言してくれたり…
いろいろと凝ってる。

音響もいい感じ。
隊のみんなはもちろん、敵も結構しゃべってて、
「周りにいるなぁ」って感じがする。

システム的には、倒した敵が持ってた武器を次々奪って使えるのが面白い。
あと乗り物に味方乗っけて、攻撃は味方に任せて、自分は操縦したりとか(逆もできる)。

ネットワーク対戦も熱いらしいが、まだやってない。
けど、やっぱり皆でガヤガヤやるのが楽しいと思う。
本編でもその気分は十分味わえるけどね。

毎度のことだけど、このクオリティを楽しむには
HD対応ディスプレイと5.1ch必須。でないと50%は損する。

まあ、360ユーザーなら間違いなく買いで。

あと、HaloとHalo2をやってない人は、ヒストリーパックがオススメ。

自分もやってなくて、元々買うつもりは無かったのだが、
Halo3のあまりの面白さについ買ってしまった。
こうなるなら最初にこっちから始めれば良かった(笑)

グラフィックなどは当然3に劣るが、5.1chサラウンドだし、面白さ自体は全く遜色ない。

いくら同タイトルでも前世代機のだし、
期待はずれになるかな、と思いながら買ったのだが、良い意味で裏切られた感じ。
この値段でこの完成度はかなりお買い得。

一通りクリアしたら再度3に挑戦する予定。

ちなみに実写版『Halo』の計画があったが、制作は中止されてるらしい。

関連記事:
ロストプラネット
Xbox360を買おうとしてみた
Xbox360買った

関連リンク:
Halo3をプレイする95歳のおばあちゃん(日本)
Haloを作ったBungie StudioがMicrosoftからスピンアウトした件について

アニメ CLAYMORE クレイモア

どこまで歩いても終わりが見えない
過去の記憶を道連れに
此の身は何色に染まりゆくのだろう
答えを探している

テレビアニメ、クレイモアを見た。

冒頭の引用はオープニング曲レゾンデートルから。
内容とマッチしたいい曲だと思った。

クレイモア

人間を襲う妖魔を、クレイモアと呼ばれる半分人間・半分妖魔の存在が倒していく話。
クレイモアは基本的に人間だが、戦う時は妖力を解放させて戦う。
妖力が限界を超えると、クレイモアもまた妖魔となってしまう。

という、設定的には、うしおととらのような感じ。
ストーリーの流れはベタなほうだと思う。

ちなみにクレイモアは女性しかいない。
男性はあっという間に暴走して使い物にならないらしい(笑

描写は割とエグめ。
すぐ手足飛んだり、体もバラバラになる。

キャラはどうなんだろ。
好き嫌い分かれるのかどうか。
カッコイイ顔の時と、すんごい変な顔の時の落差も激しいけど、
人形のような妖しさがお気に入り。

あと、時々で違うけど、クレイモア達の彩度を落とした、
モノクローム気味の色合いがいいと思った。
火花、眼の色、血の色なんかが効果的に映る。

と、概観はこんな感じ。

内容としては、やっぱり

「力は本質的に悪の属性である」ということを、確り描いたアニメ作品
クレイモア -力の本質的な悪について-(ロリコンファル)

に尽きるんかなぁ。
うしとらと違う点もそこにあるように思う。

肉体的な力と精神的な力の二元論に発展するのかな、と思ったけど、
それほど強調された描写は無かったし。

あと個人的な見所としては、持たざる者としてのラキ。

ラキは「クレアを守りたい」と常々言っていたが、
物理的に守れるようになれるはずがない。

だからせめて心の支え的な意味で「守れるようになりたい」ということになるが、
実際には、クレアの心はテレサが占めてることが多くて、
あぁ、そう簡単にテレサの代わりにはなれるわけないよな、
っていう妙にリアルな無力感が味わえたりする。

なんというか、こういう無力感を解消できる力って、
努力して手に入るような力じゃねーぞ、っていう…
存在しない力を探すような、本当の無力感なんですね。

妖魔とクレイモアに囲まれながら
「人間」というキャラを粛々とこなしてる感じが印象的。

OP. ナイトメア – レゾンデートル
ED. 小坂りゆ – 断罪の花~Guilty Sky~

関連リンク:
『CLAYMORE』公式サイト:CLAYMORE.com
日テレ クレイモアページ
クレイモア – Wikipedia

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