しろログ

日々巡り会ったものの感想・レビュー

Month: 12月 2006 (page 2 of 3)

存在の恐怖

先日の哲学者の密室を読んで思った、
「ただ「ある」ことが何故恐怖なのか」について、またちょっと考えてみた。

ただ「ある」というのは、どういうことか。
それは、あらゆる事柄との関係が全く無い状態、
つまり、絶対的な孤独であるように思える。

他との関係が全く無いのだから、
孤独というよりは、無に近い。
何によって自分が自分たらしめられているのか、というと、
実は外との関係によっていることが多い。

例えば、音楽が好き、という自分は、「音楽」との関係によって成り立つ。
自分は足が速い、というのも「比較する対象」との関係によって成り立つ。
あらゆる行動や、性格のほとんどは、他者との関係による。

そうした関係が極限まで絶たれると、
まさに「存在」だけが浮き彫りになる。

しかし、その「存在」は他者との関係のうちには無いのだから、
あっても無くても同じ、「無」の「存在(ある)」であり、
それが怖いと感じるのではないだろうか。

・・うーん、なんか違いそうだな・・・
あまり怖さを感じない。

あらゆる関係が無くなっても、
相変わらず腹はへるだろうし、夜になれば眠くもなる。
それは存在そのものでも、無でもない。

もう少し考えよ。

箱庭ノベルズII ver0.60

ついに、箱庭ノベルズIIにセーブ機能追加!
と大々的に言いたいところですが、試験運用という感じでスタートします。

全フラグ値、現在表示されている画像・エフェクト、シナリオの進行状況
その全てを正確に保存する必要のあるセーブ機能は、
その性質上複雑な処理のため、
特定の条件下ではうまく機能しない可能性があります。

もし、セーブしたけどおかしい、ということがありましたら、
・どの作品で
・どのあたりでセーブして
・具体的にどうおかしいか
など、できるだけ詳細にご連絡いただけるとうれしいです。

ちなみに技術的な話をすると、データ保存には
flashのSharedObject(以下SO)を使っています。

最初はCookieを考えていたのですが、
保障される変数が20個、サイズも各4kbと、
変数の値にマルチバイトも使える箱庭ノベルズでは、微妙に不安。

その点、SOは基本100kbほど、
ユーザー指定で無制限にもできます。

またCookieはブラウザごとなのに対し、SOはマシンごと。
IEとFirefox乗り換えても問題なし。
あとはネットワーク介さずローカルで完結できるとか・・
この辺メリット薄めだけど(笑

マルチバイトは、IEなどはエンコードせずに
ダイレクトでflashvarsに渡しても大丈夫でしたが、
SafariやOperaなど、ブラウザによってはダメなので、
やはりエンコードしとくのが無難。

とりあえずjavascript側でencodeURI。
が、それをそのまま渡すと、結局flash内部でデコードされてしまうので、

encodeURI(mb_vars).replace(/%/g, '|')

みたいに置き換えて保存させてみました。
逆にロードするときは、内部で

decodeURI(mb_vars.replace(/\|/g, '%'))

みたいな。
encodeURIは自動でutf-8になるようで、かなり容量食うんですけどね。

神林長平 – 膚の下

膚の下を読んだ。

あなたの魂に安らぎあれ、帝王の殻に続く、火星三部作の完結編。
2004年出版なので、割と最近ですね。
あなたの~が1983年なので、実に20年越しで完結です。

時間的には、どんどんさかのぼっていく感じですね。
逆から読んでも面白いと思います。
ただ、個人的にはやはり、出版順がオススメです。

どの作品も、自己存在について問うていることに変わりは無いのに、
どんどんスケールが大きくなっているようです。
それでいて、主題がぼやけていない。

複数の人間の心情を描いたり、
PABと親子、のような複数のテーマが立つことなく、
ただ、成長し、問い、道を見つける慧慈を描ききっています。

問いに対する回答という点でも、割とぼんやりしていた印象の過去二作に比べ、
ふっきれたような明確さと決意を感じることができます。
ストーリー展開もまとまっていて読みやすく、
まさに20年分の重みがあり、完成度が非常に高いと思います。

われらはおまえたちを創った
おまえたちはなにを創るのか

どんなになりたくても、なれないものがある・・・
であれば、それになろうとするのではなく、
ただ、自分は自分であるべきだ。
膚の下の自分を感じるべし。

全ての、神たるクリエイターへ。

オススメ度★★★★★

関連記事:
神林長平 – あなたの魂に安らぎあれ
神林長平 – 帝王の殻

箱庭ノベルズ初? ボイス付作品

箱庭ノベルズIIで公開された作品より。

なんと、フルボイス!(笑)
男声版と、女声版で楽しめます。
こういう導入的というか、ちょっとした世界観を楽しめるボリュームもちょうどいいかも。

mp3でも結構スムーズにロードできるもんですね・・

笠井潔 – 哲学者の密室

哲学者の密室を読んだ。

ミステリーと言えば、単に謎解きや、
犯人の心理に焦点を当てるものだと思っていたので、
本書のような、哲学を軸にしたものは新鮮で面白かった。

事件を現象学的に捉え、その本質を直感し、
多数成立しうる論理的推論から、
最も真実に近いものを選択していくという手法は
なんとなく知的な興奮を覚えるものではないでしょうか。

ここまで哲学的解釈が適用できて、
しかも、登場人物がその話についていける事件って
すげーって感じなのですが、まあ、そのためのお話だし・・ということで。

本書では、「自分を自分として存在させているもの」が
テーマの一つなのかなと思います。

人間を単なるモノとしての存在にとどまらないものにしてくれる何か。
それは、たとえば思想であったり、師であったり、愛する何かだったりします。

これが無くなったとき、
つまり思想が崩壊したとき、愛するものが何一つ無くなったとき・・
それは人がなんら意味を持たない、ただ「ある」というだけの存在になるということです。
あらゆる希望が奪われた強制収容所の囚人、
自分の信念が根底から覆された人間、
それは、ただ「ある」ものとしての存在です。

愛する対象を見出したときに、生まれてはじめて、ついに怖れの感情に目覚めるのだ。

これは、愛する対象を失うこと自体を怖れるのではなく、
それを失うことで、自分がただ「ある」ものでしかなくなることを怖れる、とも解釈できます。

「自分の存在可能性の中心点」を何にすべきか、
そもそも、ただ「ある」ことが何故恐怖なのか、
考えるネタがいろいろ出てきます。

オススメ度★★★★

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