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日々巡り会ったものの感想・レビュー

Month: 11月 2006 (page 2 of 4)

箱庭ノベルズII ver0.52

箱庭ノベルズIIに、メッセージウィンドウの位置、
背景色、文字色、透明度を変更できるイベントを追加しました。

神林長平 – あなたの魂に安らぎあれ

あなたの魂に安らぎあれを読んだ。

麦撃機の飛ぶ空がいい感じ、と思って本作。
帝王の殻、膚の下に続く三部作の一冊目らしい。

あのですね・・おもしろいです。
ハイペリオンの時もそうだったけど、
もしかしてSFと相性がいいのかしらん。
たまたまいい本に当たってるのかな。

幻に支配された地下に住む人間と、
より人間らしい生活を送る、地上に住むアンドロイドを通じて、
「何故、私は存在するのか」という自己存在意義を問い続けるお話。
永久に続くテーマですね。

存在意義が無いと分かると、人間(の魂)は堕落していきます。
堕落しないのは、少なくとも「存在意義が無い」と確信できる状態ではないからです。

自分の存在意義があるのか無いのか、
その自問行為は存在意義の一つとなりえますが、
魂を疲れさせるものです。

魂が安らぐのは、自分の存在意義について問う必要がなくなるとき。
すなわち、その解を持つこと、
あるいは動物となること。

問うことをやめたり、気づかないふりをするのは、
高等な動物にとどまるようなものです。
それはそれで安らぎを得られるでしょう。

「あなたの魂に安らぎあれ」か・・

オススメ度★★★★

関連記事:
神林長平 – 麦撃機の飛ぶ空
神林長平 – 帝王の殻
神林長平 – 膚の下

Amateur – Lasse Gjertsen

なぜか笑いがこみあげてくる。

いい音楽だな。

アンドレ・ジッド – 田園交響楽

田園交響楽を読んだ。

盲目のまま、教育を受けることもなく育った娘が、
ある牧師によって知性に目覚め、この世の素晴らしさを謳歌するも、
視力を得て知った罪の意識によって、死の道へと至る悲劇。

あなたが授けてくださる幸福は、何から何まであたしの無知の上に築かれているような気がしますの

妻と子がありながら、日に日に知的に成長するジェルトリュードに恋し、
ジェルトリュードを導くという口実で、
互いに惹かれていた息子ジャックとジェルトリュードを遠ざけ、
さらに愛情を深める牧師。

神への道が見えなくなっていた牧師が開かせた
ジェルトリュードの目は、罪を見ることになります。

もし牧師の両目が開かれていたならば、
ジャックとの結婚を認めたでしょうし、
片目でも開いていれば、目の手術は受けさせなかったかもしれない。

そして、手術の後、罪の深さを知ったジェルトリュードは死を選び、
ジャックは牧師の元を去ります。

私は、自分の心が砂漠よりも乾からびているのを感じていた。

ルカによる福音書6章39
「盲人もし盲人を導かば、ふたりとも穴に落ちん」を具現化した作品。

オススメ度★★★

ショウペンハウエル – 読書について 他二篇

読書についてを読んだ。

先日ちょっと書いた「良書を読むための条件」で引用した文が書かれている本。

■読書について

読書をせんとする者、全ての本に先がけて本書を読むべし。

と言いたくなるほど、読書について鋭い指摘がなされています。

人間まず思索を行うことが重要なのであって、
読書はその思索を助けるものでしかない。
しかも、その書の選択を誤れば害にしかならない。

一日を多読に費やす勤勉な人間は、次第に自分でものを考える力を失って行く。

書物は、その著者の思索の足跡であり、
読書は思索の代用品なのです。

自らの思索の泉が枯れた時に、読書に頼るのは仕方ないとしても、
読書のために思索を退けるのは大変な誤りであると言います。

自分自身、ここ最近意図的に読書量を増やしつつあったのですが、
その割に空虚なものを感じていたのは、ここに原因があったのかもしれない。
無意味な多読は害になるという警告に早く気が付けたのは幸いでした。

読書に際しての心がけとしては、読まずにすます技術が非常に重要である。

特に日々出版される新書、途端に何十万部も増版を重ねる本には
手を出さないことだとあります。これらの本の寿命を考えれば、
読むべき本はまだ他にあるはずです。

■著作について

著作についても厳しいことが書かれており、
文学に対する並々ならぬ決意と自負が伝わってきます。

個人的なメモ書き程度のブログとは言え、
文を書いている自分としても耳の痛いことばかりです。

すぐれた文体たるための第一規則は、主張すべきものを所有することである。

当たり前なのですが、この「主張」をさらに
誰にでも分かるように書くことが必要だと説いています。

多くのもったいぶった言い回しは、批判されたときの逃げ道であり、
裏があるような言葉遣いは、無知に対する隠れ蓑だということです。

また、文章は簡潔に書くのが良いとしています。
ただし、この「簡潔」を履き違え、必要なことまで削ってしまうのは、
やはり批判に対する逃げ道であったり、
足りない部分を読者の考えに任せるといった、
虫のいい考えにつながります。

■この本自体が名著

名著が常にそうであるように、100年経っても
現代の話題のように読めるところが素晴らしい。

書や文に触れる人(要するにほとんどの全ての人)は、読んでおくべき一冊。

オススメ度★★★★★

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