ドストエフスキー - 貧しき人びと - しろログ

ドストエフスキー - 貧しき人びと

2006/09/21

貧しき人びと
貧しき人びと
を読んだ。

内容としては、表題通り貧乏な男と、貧乏な若い娘の手紙のやりとり。

貧乏生活における喜怒哀楽を経て、最後に愛する娘はお金持ちにもらわれてゆきます。

ただそれだけです。

本当にそれだけで、こちらとしてはかなり突き放された心地にさせられます。

それは例えるなら、ルネ・マグリットの絵のようなものです。
そこにあるものをそのまま切り取ったような、作品。

坂口安吾の「文学のふるさと」という一篇を思い出したのですが、

けれども、この孤独は、いつも曠野を迷うだけで、救いの家を予期すらもできない。
そうして、最後に、むごたらしいこと、救いがないということ、それだけが、唯一の救いなのであります。

マカール氏の最後の手紙によれば、ワーレンカは曠野へと旅立ってゆく、まさにマカール氏にも、読者にも救いが無いんですよね。

何か、氷を抱きしめたような、せつない悲しさ、美しさ、であります。

すごく悲惨な現実をえぐっているんだけれども、それを「氷を抱きしめたような」作品に仕上げているあたり名作なんだなあ、という思いです。

本書より

今は人間ひとりが生きるか死ぬかという大事なときなんですよ。
それに比べたら飾縫いなんかぼろ切れじゃありませんか、飾縫いなんてぼろ切れですとも。いや、このわたしだって、こんど月給をもらったら、そんな飾縫いなんかいくらでもきみに買ってあげます、買ってあげますとも。懇意な店だってあるんですから。
ただ月給日まで待ってくださいよ

オススメ度★★★

カテゴリ:, 小説, 文学

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