ドストエフスキー - 貧しき人びと

貧しき人びとを読んだ。
内容としては、表題通り貧乏な男と、貧乏な若い娘の手紙のやりとり。
貧乏生活における喜怒哀楽を経て、最後に愛する娘はお金持ちにもらわれてゆきます。
ただそれだけです。
本当にそれだけで、こちらとしてはかなり突き放された心地にさせられます。
それは例えるなら、ルネ・マグリットの絵のようなものです。
そこにあるものをそのまま切り取ったような、作品。
坂口安吾の「文学のふるさと」という一篇を思い出したのですが、
けれども、この孤独は、いつも曠野を迷うだけで、救いの家を予期すらもできない。
そうして、最後に、むごたらしいこと、救いがないということ、それだけが、唯一の救いなのであります。
マカール氏の最後の手紙によれば、ワーレンカは曠野へと旅立ってゆく、まさにマカール氏にも、読者にも救いが無いんですよね。
何か、氷を抱きしめたような、せつない悲しさ、美しさ、であります。
すごく悲惨な現実をえぐっているんだけれども、それを「氷を抱きしめたような」作品に仕上げているあたり名作なんだなあ、という思いです。
本書より
今は人間ひとりが生きるか死ぬかという大事なときなんですよ。
それに比べたら飾縫いなんかぼろ切れじゃありませんか、飾縫いなんてぼろ切れですとも。いや、このわたしだって、こんど月給をもらったら、そんな飾縫いなんかいくらでもきみに買ってあげます、買ってあげますとも。懇意な店だってあるんですから。
ただ月給日まで待ってくださいよ
オススメ度★★★
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